ドローンには一般によく知られたマルチコプター型とは別に固定翼型というタイプもあるんです。

でも、あまりお店でも見かけないですよね?
その理由は固定翼型の特徴にあります。

固定翼型ドローンは飛行機と同じ形状で後方に推進用のローターが付いているのが特徴です。
このローターで前方に進み、翼後方のエルロンを動かす事で方向転換を行います。
飛行機と同じ飛び方ですね!

固定翼型のメリットとしては

①ローターが推進用だけで良いので消費エネルギーが少なくて済む

→マルチコプター型が複数のローターで上昇と方向転換を行うのに対し、固定翼型ドローンのローターは推進にのみ使われ、上昇は翼の揚力で、方向転換はエルロンで行うため使うエネルギーが少なくて済みます。
そのため、同じ容量のバッテリーでも長い時間の航行が可能です。
10分〜30分の航行時間が多いマルチコプター型に対し、固定翼型は2時間以上飛行できるものもあります。

②空気抵抗が少なく、より高速で飛行することができる

→固定翼型ドローンは飛行するのに最も適した飛行機と同じ空気抵抗が少ない形状をしています。
そのため高速での飛行が可能です。
航行時間の長さも合わせて、より短時間でより遠くまで飛ぶことが出来るのです。

③ 飛行安定性が高く、より重量のある積載物の運搬が出来る

→飛行に適した形状のため、飛行安定性が高く、より重量のある積載物を搭載できます。

そんなメリットの多い固定翼型ですが、使われる用途としてはまずは軍事用ドローンがあります。
長距離長時間、重量積載物を運搬できる固定翼型ドローンは軍事用には最適と言えますね。

もう一つの用途としては測量用
固定翼型ドローンであれば測量用の高性能カメラやレーザー測量機も搭載出来、短時間で広範囲の測量が出来ます。
また、山岳地帯の不安定な風の中でも安定して飛べるため測量にも打って付けですね!

そんなメリットいっぱいの固定翼型ドローンですが、もちろんデメリットもあります。

①翼があるためマルチコプター型に比べて機体が大きい

→十分な揚力を得るため、固定翼型ドローンには大きな翼が必要です。
そのためどうしても機体が大きくなってしまうのです。
もちろん、運搬時には翼が外せるものがほとんどですが、それでも取り回しは少し不便ですよね。

②垂直離着陸が出来ないので滑走路や射出装置が必要

→マルチコプター型ではヘリコプターのように垂直離着陸ができますが、固定翼型ではそのような事は出来ません。
飛び立つ時には滑走したり、射出させる必要があります。
小型の固定翼機ではブーメランのように投げて飛ばせるものもあります。

③ホバリングが出来ない

→翼の揚力で飛行する固定翼型ドローンは常に移動していないと空中にいられません。
そのためマルチコプター型のように空中に静止するような事はできないのです。

これらの理由によって、個人が空撮する為のドローンとしては不便な所が多いのが固定翼型の特徴。
一般のお店であまり見かけないのも納得ですね!
でも、固定翼型の撮影用ドローンもあり、高速かつ長距離長時間の撮影が出来るので、飛行機のコクピットのような大迫力の映像が撮れたりもします!

最後に、この固定翼型のデメリットをマルチコプター型のメリットで補った新しいタイプのドローンも紹介します。

こちらは「VTOL(vertical taking and landing)型固定翼ドローン」というもので、固定翼型ドローンの機体に垂直離着陸とホバリング用のマルチローターを搭載、まさに2種類のドローンの「いいとこどり」な新型ドローンです!
測量、農業、物流、防災など今後の様々な産業への活躍が期待できますね!